アミューズ|Catch up !! 板谷由夏 blog

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2011

08

8月

02

火曜日

わかれのようなもの

99年の初夏、本当は彼女を迎えに行ったのではなく、人懐っこい他の男の子を連れて帰る予定だった。だけど、他の子たちにまぎれず、尻尾を振って近寄ってもこない1歳の子犬の臆病そうな上目つかいの視線と目が合ったとき、やっぱりこの子にします、と言っていたのだった。名前はジェイファー、ミニチュアダックスフンド。ブリーダーがオーストラリアから連れてきたけれど、歯が出っ歯で繁殖犬にはむかないから手放したいと言う。そういう出会いだった。
それから12年、彼女は私の親友だった。東京の一人暮らし、何度抱きしめて泣いただろう。引っ越しを6回した。一緒に恋愛をした。彼女の出産、育児も二人三脚だった。私の結婚、妊娠、出産、育児とずっと一緒だった。
彼女はちいさな親しみの塊で、あたたかくやさしい光だった。
あまりにも思い出がありすぎて書いていて苦しい。いつもそばにいた親友がいなくなってしまった。
今は部屋にある彼女の日常の気配をずっとずっと忘れないでいたい。ただそれだけだ。
最後の晩、妙にべったり甘えてきて、私のジーパンに臭い鼻水をべったり付けた。いまは、そのニオイを嗅いで抱きしめている。

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